私事で恐縮ですが、今年、母の23回忌を迎えます。母はとても元気な人でしたのに60歳の秋、突然倒れ、ほんの数日後に亡くなりました。倒れてから意識が戻ることはなく、家族は現実が受け止められなくて、これまでに経験したことのない悲痛な日々を送りました。そんな中、入院先の病院の看護師さんの対応に、心が救われました。
倒れてから母に声をかけるのは、家族や見舞いに来た親戚ぐらいでしたのに、その看護師さんは事あるごとに、意識のない母に声をかけてくださいました。痰を吸引する時も「○○さん、ちょっと痛いけど我慢してねー。」とか、体位を変える時も「○○さ~ん、身体、右向けるけどいいかなぁ~。」とか・・・。母が生きている、まだ社会と繋がっていると思えて、とても嬉しかった。看護師さんにその時の気持ちを伝えてお礼を言うと、「あたりまえのことですから。」とほほ笑んで応えてくださいました。
先日、研修に行った職員が研修報告の中で、次の言葉を紹介していました。
『 当たり前のことを、並外れた愛を持って行いなさい。=マザーテレサ 』
あの時の看護師さんのはにかんだ笑顔を思い出しました。
何でも慣れてくると、おろそかになったり、大切なことを見失ったりしがちです。保育園でも、当たり前の日常を大切にして、並外れた愛を注ぎ、穏やかな日々を子どもたちと送りたいと思っています。